【企画者インタビュー】超世代見聞祭はこうして生まれた ― 高校生・市川さんが語る「やりたい」を形にするまで

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2026年7月4日に開催された、高校生企画の多世代型交流ワークショップ「超世代見聞祭」。
企画・運営を担った高校生のひとり、市川さんに、イベントを立ち上げた想いとその舞台裏を聞きました。
聞き手は、GTC代表理事の丸橋と事務局スタッフです。

 

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小学5年生の「不思議」から始まった

丸橋: まず、このイベントをやろうと思ったきっかけから聞かせてください。

市川: 私は、情報リテラシーについての探究を行っています。情報リテラシーの大切さを、これからの日本を担っていく若い世代に身につけてほしいという想いで探究を進めてきました。その中で、エッジソン・マネジメント協会が主催する多世代交流ワークショップ「MIRA-GE」に参加して、東京の九段中等教育学校の生徒さんがワークショップを企画・進行しているのを見て、「私も自分でやってみたい」と思うようになりました。

丸橋: 探究テーマの「情報リテラシーの大切さ」、どうしてそこに興味を持ったのですか?

市川: SNSの普及でフェイクニュースや偏向報道が社会問題になっていることを探究の授業で知りました。日本は民主主義の国だから、情報リテラシーを身につけている人が多くないと、騙されてしまう人が増えて、未来の日本の政治にも大きく影響を及ぼしてしまうのではないかと思いました。それで情報リテラシーを高める活動をしています。

丸橋: 具体的に、「これは大変だよな」と思った経験はありますか?

市川: 小学5年生のときの話です。私は学級新聞係でした。ちょうどその頃、アメリカの大統領選があり、学校でも模擬選挙をやってみようということになりました。すると、クラスの35人中34人が片方の候補者に入れたのです。

丸橋: すごい偏りですね。

市川: それがすごく印象的というか、不思議だなって当時思ったのです。高校生になって思い返してみたら、政治の政策を分かるはずもない小学生が、圧倒的に片方の候補者に投票したという状況って、無意識のうちに一方に意識が向くようになっていたのではないかと。やっぱり情報リテラシーって大事なんだなと思うようになりました。

丸橋: すごいですね。小学5年生のその経験と高校生になってからの学びがつながって、それが今の探究テーマになっている。歴史があるんですね。

スタッフ: 昔の問題意識がここまで続いている、これまで蓄積してきたことが今につながっているんですね。他の高校生の探究のヒントにもなる、その話自体がすごく面白いです。

 

「私たちもやってみたいね」― 帰りのバスで生まれた決意

丸橋: その想いから、実際の行動までは、どのようなプロセスだったのでしょうか?

市川: MIRA-GEが終わった帰りのバスの中で、鏡と「私たちもやってみたいね」と話した記憶があります。その後、2月に共愛学園前橋国際大学で開催されたMIRA-GE群馬開催に参加したとき、その場で「開催したいです」と、エッジソン・マネジメント協会の方に鏡と一緒に許可をもらいに行きました。そこからは先生方やGTCの支援を受けて、実際に企画・運営するところまで進みました。

丸橋: 想いを伝えてみて、どうでしたか?

市川: 思ったよりスムーズに「いいよ」と許可をいただくことができ、「やりたい」と言ってから「じゃあ企画しよう」となるまで、思っていたよりも壁がなくて、するっと企画まで行けました。

丸橋: きっと嬉しかったんだと思いますよ。高校生から「企画したいんです」と手を挙げてくれる人がいたことが。

 

「超世代見聞祭」誕生秘話 ― 名前はどうやって決まった?

丸橋: 続いて準備の話を伺いたいと思います。まず、この名前はどのような経緯で付いたのですか?

市川: 最初は漢字という発想がなくて、英単語で考えていたんです。でも、思いつくものがすでに会社の名前だったりして、「被らない名前って難しいな」と。それなら漢字にしてみよう、漢字だったら被らないなと思いました。

丸橋: 最初どのような名前だったのですか?

市川: 最初は、英単語をで新星、探究などの意味をつけていました。でも、個人的に「見聞録」とか「○○記」というワードに小さい頃から惹かれていて。好きだったお話のタイトルが「何々見聞録」や「何々記」だったので、自然と「見聞録にしてみよう」と思いました。この企画は中高生の探究を支援するものだから、若者の言葉を入れて「若人見聞録」にしようと思ったんです。

でも先生に相談したら、「それだと若い人だけが参加する企画だと勘違いされそうだ」とアドバイスをもらい…。全世代を対象にするような名前はないか、それと「録」という文字だと文書のイメージが強くて今回の趣旨とは違うよね、という話になりました。それで、さらに国語の先生に経緯を話して「いい言葉ないですか」と相談したら、「超世代見聞祭」が出来上がりました。

丸橋: 大人はなかなか付けないネーミングですよね。非常に斬新。「超世代」の「超」は、どうして?

市川: 「世代を超える」「全世代」を表すいい言葉がないかなと考えていたときに、先生方から「世代を超えるというワードがいい」と言ってもらえました。それに「超」が付くことで、ただの企画名でもスペシャルな感じになって、インパクトが強いからいいのではないかと思って採用しました。

丸橋: 最初は聞き慣れない言葉だったけど、だんだん味が出てくる名前ですよね。奥が深い。

 

フィードバックの時間を、より長く

丸橋:では、次にプログラムについても聞かせてください。発表セッションを60分×2回という流れにしたのは、何か工夫があったんですか?

市川: 今回の企画は、中高生の探究へのフィードバックに重きを置きたかったんです。だからフィードバックをもらう時間を従来のMIRA-GEよりも長く取って、より中高生の探究が深まるプログラムにしました。

丸橋: どうしてそのようにしようと思ったのですか?

市川: 以前、GTCのイベントで自分の探究を発表したとき、そこでもらえたフィードバックが今にも生きていて、本当にいい経験をさせてもらったなと思ったんです。だからこそ、その経験を他の生徒さんたちにも味わっていただきたいと思って、中高生の探究へのフィードバックを中心にした企画にしました。

丸橋: 自分の経験から想いが出てきているのが、すごいですね。

  

AIにチラシは作れなかった ― 準備で見えた「人間の仕事」

丸橋: 準備の中で、課題だったことはありますか?

市川: 思っていたより本当に忙しくて。テスト期間とちょうど重なったり、分担も難しくて。誰がスライドを作るのか、誰がチラシを作るのか、チラシはどうやって作るのか。分担や時間の作り方にすごく悩まされました。

スタッフ: 具体的な準備期間はどのくらいだったんですか?

市川: 高校2年生に入った段階、4月の中旬から準備を始めていました。5月頭までに、実施する目的や内容を決めました。その後、文化祭やテストがあるなかで6月の中旬にチラシを準備しました。6月末には再びテストがありつつ、当日の7月4日を迎えた、という感じです。

スタッフ: いや、忙しいですよね。文化祭もある1学期での準備期間。なかなかの忙しさだったんだなというのが分かりました。

丸橋: 実際にやってみて、どうでしたか?

市川: 私はチラシを担当したんですけど、最初はAIで作っていたんです。でも、思っていたよりAIってまだまだだなと思って。実際に自分でチラシを作ってみたからこそ、まだ人間が頑張らなきゃいけない部分を自分自身で体感できたと思うし、一緒に企画をする仲間とのコミュニケーションもすごく大事だなと実感しました。

丸橋: チラシで一番工夫したところはどこですか?

市川: パッと見で目を引くように意識したことです。情報量が多かったので、文字ばかりになってしまうと読む気も失せちゃうだろうなと思いました。できるだけ文字を少なくして、最初に目につく文字が大きくなるようにして、人に見てもらえる工夫を特に頑張りました。フォントも、どれが一番しっくり来るか何回も試行錯誤しました。

 

参加者集めの壁と、そこから見えた学び

丸橋: 参加者募集では、どんな工夫をしましたか?

市川: 自分の個人のInstagramのストーリーで発信したり、来てくれそうな友達に直接送ってみたりしました。ただ、ちょうどその時期がテスト明けだったり、模試や大会があったりで、思うように人を集められなかったのが残念でした。

丸橋: 市川さんから見て、「こういう仕組みがあるといいな」と思ったことはありますか?

市川: 「知ってから応募するまで」のハードルって、すごく高いと感じています。興味はあるけど参加しづらい、という人はたくさんいると思うんです。だからこそ、少しでもハードルを下げられる形での参加方法があるといいなと思いました。あとは、例えば群馬県内だけでも、その日にどんな予定があるのか、どんな大会があるのか、どこの高校で模試をやるのか、事前に分かっていたら、もう少し日程調整ができたのかなと思っています。

スタッフ: すごいことに気づいていますよね。自分たちがやりたいだけじゃなくて、周りの人が来られるかどうか。来やすい場所なのか、来やすい日なのか、来やすいタイミングなのか。そこまでイメージしながら企画を作っていくのは、大人になってからでも「そんなことあったんだ」ということがいっぱいあります。本当にその通りですね。

 

当日 ― 「良かったよ」の一言に救われた

丸橋: 準備はなかなか大変だったようですね。では、当日の手応えはどうでしたか?

市川: 参加した方から本当に褒めていただいて、実施して良かったなと思いました。私が九段中等の生徒さんを見て憧れを抱いたように、誰かにもそういう気持ちになってもらえたのかなと思うと、すごく嬉しかったです。

丸橋: 手応えは、具体的にどんなところで感じましたか?

市川: 終わった後に、参加してくれた大学生の方が話しかけに来てくれたり、名刺をくださったりしたところですね。

丸橋: 参加者として出るのと、運営では違いましたか?

市川: やっぱり運営だと、実際の話し合いの場にいないので、どのくらい盛り上がっているか、空気は大丈夫か、案外分からないことが多くて、すごく緊張していました。でも最後に「すごい良かったよ」と褒めてくれた方がたくさんいたので、本当に心の底から良かったなと思いました。

 

「行動してみないと分からない」― 企画を通じて学んだこと

丸橋: 企画を通じて学んだことは何ですか?

市川: 机上の理論よりも、本当に行動に移してみないと分からないことがたくさんあるんだなと思いました。それと、私はもともと思い立ってから行動するまでがすごく早いタイプで、発表するとなっても全く計画をせずに、その場のノリと雰囲気でなんとか乗り越えてきたタイプなんです。でも、初めての企画運営ではそうはいかなくて。きっちり計画を立てなければいけなくて、個人的には計画を立てるのがすごく苦痛で大変だったんですけど……。やっぱり計画を立てるって、当日の流れの想像とか、トラブルが起きたときにどうするかとか、計画がないとうまくいかないこともあるんだなと身に染みて感じて。これからはもっと計画性を持っていきたいなと本当に思いました。

丸橋: 「行動してみないと分からない」と一番思ったのは、どういうところですか?

市川: 参加者の席を、事前アンケートの性格診断で分けていたんです。同じ価値観を持つ人同士で席を割り振って、「これは間違いなく同じ意見になるはず」と思っていました。そこから班を変えて、違いが見つかって、「人ってこんなに違うんだな」と分かってもらう予定だったんです。でも実際にやってみたら、同じ価値観のはずの班でも意見が全然一致しなくて。「あ、どうしよう」って(笑)。

スタッフ: 「もし戻れたら、ここに戻りたい」というポイントはありますか?

市川: 開催の前日になって、ある班に発表者が1人しかいないことに気づいたんです。2人いる想定でタイムテーブルを全部組んでいたので、直前になって組み直して。発表者が何人いるのか、本当にこのタイムテーブルで大丈夫なのか、もっと前々から綿密に確認していればなと思いました。

スタッフ: でも、もし記憶を消して当時に戻ったら、またやらなそうじゃないですか(笑)。やってみてから計画の大事さに気づく。今の話をそのまま、これからやる人たちに聞かせてあげたいと思いました。

 

「楽しむこと」を忘れない

丸橋: このイベントを開催して、一番印象に残ったことは何でしょう?

市川: 企画者・運営者の立場に立つのが初めてだったので、皆さんの反応がずっと気になっていたし、心配な気持ちもありました。でも私は性格的にあまり緊張しないタイプなので、思ったよりは緊張せず、心から楽しめました。やっぱり、楽しむことって大事だなと思いました。何をやるにしても「嫌だな」「緊張するな」「早く終わってほしいな」ばかり考えていたら、せっかく自分で企画したのに、企画した本人が楽しめないのはもったいないなって。

丸橋: その「あまり緊張しない」性格は、どこから生まれてきたんですか?

市川: 昔は心配症だったんです。でもこの高校に入ってから発表する機会がすごく多くて。学校説明会で中学生と保護者向けに発表したり、そういう自分の成功体験が積み重なって、「私なら1回喋り始めたらなんとかなるから大丈夫」と思えるようになりました。

丸橋: 高校生が参加者ではなく、企画者・運営者になる。先生がお膳立てして生徒が参加する形が多い中で、こういう機会はなかなかないですよね。広めていった方がいいと思いますか?

市川: ぜひぜひ、いろんな人に体験していただきたいです。大変だったけれど、私たちが準備していたのは学校生活で一番忙しい1学期だったので、例えば2学期や3学期に企画すれば、もっと焦らずゆっくり、計画も楽しんでできたのかなと思います。だからこそ、人前に出ることに慣れていない人、何事も始める前に緊張しちゃう人、そういう人こそこのような企画を運営して、自分の成功体験を獲得して、今後の自信をつけてほしいと思います。

 

後輩たちへ ―「自分のしてきたことに、無駄なことはなかった」

丸橋: 最後に、これから挑戦する後輩たちへメッセージをお願いします。

市川: 確かに、イベント運営はすごく大変です。でも、開催してみるとすごく楽しくて。自分のしてきたことに無駄なことはなかったな、と思いました。この体験を通して、より人と関わることが好きになったし、何より――これを運営していなかったら、私の人生はどう変わっていたんだろうって、日々思います。本当に、運営してよかったなと思っています。

スタッフ: いい言葉を聞けました。運営するって、「今やるから結果が出る」ものじゃなくて、計画を立てるところから、誰かに話をしたり、何かを作って募集したり、最後に見たい景色のために少しずつ積み重ねていく流れなんですよね。しかも他の人が確実に関わってくるから、自分の能力だけではどうにもならない。そこに市川さんが気づいて、課題感を持って取り組めたのは、本当に素晴らしいことだと思います。ぜひ、いろんな人にも経験してほしいし、市川さんもいろんなところで経験していったら、面白い社会ができていくんだろうなと思いました。

丸橋: 運営するというのは、全精力を注ぎ込むこと。少しでも時間があれば全部考えちゃう。会社の経営も、事業を進める人はみんなそうなんだと思う。それを高校生で経験できたのは、すごく大切なことだったんじゃないかなと思います。そして「人生を変えるイベントだった」という言葉を聞けて、すごく嬉しかったです。市川さんが10年後、20年後、30年後にどんな人生を歩んでいくのか、すごく楽しみになりました。ぜひ、社会をより良く変えていけるような活動をしていってほしいなと思います。今日はありがとうございました。

市川: ありがとうございました!

 

編集後記

「やりたい」と手を挙げた高校生が、企画者として本気で悩み、行動し、当日を楽しみ切る。

その一部始終を、市川さんは自分の言葉で語ってくれました。

 

GTCは、こうした中高生の「やってみたい」を、企画の立ち上げから当日の運営までを伴走しています。

「こんなことをやってみたい」という中高生のみなさん、まずは気軽に事務局までご連絡ください。

 

また、これらの活動は、日々GTCの理念に共感してくださるみなさまのご支援に支えられています。

引き続き、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 

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