【企画者インタビュー】言葉は毒にも、薬にもなる ― 高校生・鏡さんが「超世代見聞祭」に込めた想い

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2026年7月4日に開催された、高校生企画の多世代型交流ワークショップ「超世代見聞祭」。
企画・運営を担った高校生のひとり、鏡さんに、イベントに込めた想いと歩みを聞きました。
聞き手は、GTC代表理事の丸橋と事務局スタッフです。

 

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言葉の二面性 ― 探究の原点

丸橋: まず、このイベントの実施に至ったきっかけを聞かせてください。

鏡: 私は「言葉に関する力」をベースに探究活動を行っています。そのきっかけは、言葉によって傷つけられた経験があり、しかし、そのようなときの私を救ってくれたのも、友人が励まして寄り添ってくれた言葉の数々でした。

発した言葉が、誰かを救う「薬」のようなものにもなれば、誰かを傷つける「毒」にもなりうる。言葉の二面性に身をもって感じてから、「言葉の持つ力」に興味を持ち始めて、いまの探究活動を始めました。

丸橋: そうなのですね。

鏡: ただ、「言葉の持つ力」といっても、人によって経験が大きく異なる分野なので、フィールドワークをしたりアンケートを取ったりしても数値化することが難しいのが課題でした。探究活動に行き詰まっていたときに、学校で「MIRA-GE」の案内があって、参加しました。

MIRA-GEでは、参加する人の人生観や性格を映し出す、魂から出ているような言葉が多く飛び交っていました。より良い未来を共創するために、自分の信念を共有して分かち合ったり、自分の紡いだ言葉が誰かに認めてもらえたり。そのような経験が今まで私にはなくて、すごく希望に満ちあふれたものでした。「言葉とはこう使われるべきだ」という、ひとつの正解が見つかった気がしたのです。

特に東京で行われたMIRA-GEは、高校生自らがファシリテーションを行う回で、「高校生でもこのようなものを主催できるのだ」と知って、自分でも開きたいと熱望するようになりました。

丸橋: 言葉の力が探究テーマで、言葉はナイフのように人を気付けることもあるし、救ってくれる薬にもなる。さらにMIRA-GEで「魂の言葉」に触れた。毒と、薬と、魂の言葉。キーワードがすごいですね。そして高校生自身が場を作るMIRA-GEに参加して、「言葉はこう使われるべきだ」という経験をした。すでに物語になっていますね。

鏡: はい、自分の中で結構つながっています。

 

点が、線でつながった日

丸橋: MIRA-GEに参加して「胸の高鳴り」があったということでした。これはなぜだったんでしょう?

鏡: 大人や同世代と腹を割って話す機会が、自分にはあまりなかったんです。自分の夢を話すのも、なんだか少し照れくさい年齢ですし。そのような中で、自分の意見を受け入れてもらえたり、さまざまな価値観に出会えたり、自分にはない考えを吸収できたからこそ、胸が高鳴ったのかなと思います。新たな解決の糸口が見つかったというか――今まで「点」として取り入れてきた知識が「線」でつながる瞬間が、MIRA-GEそのものだったのかなと思っています。

丸橋: 点が線でつながる。もう少し詳しく教えてください。

鏡: 私は勉強が好きで、中学の頃から言語、特に英語が好きだったんですけど、いろんな教科を勉強する中で培った知識が、頭の中では全部独立した状態だったんです。でも、自分の思考だけに囚われていた世界をMIRA-GEを通して抜け出すことができました。他の人の意見を取り入れることで、自分と周りの世界がつながった気がして、それを「点が線でつながる」と表現させていただきました。

丸橋: 勉強してきたことが「あれ、これ全部つながってるんじゃないの」という感覚になった。MIRA-GEに参加して、バンッとつながった体験なんですね。

 

「開催したい」― 勢いのまま、その日のうちに

丸橋: そのような経験をもとに、自分でイベントをやってみたいと思ったのは、いつですか?

鏡: 参加したその日です。帰りのバスの中で、胸の高鳴りと興奮が覚めない状態のまま、勢いで「やりたいです」と先生に言ったことが、本当に実現することができました

丸橋: でも、「やりたい」と思っても、実際に「やります」と言うまでにはハードルがあると思いますが、そこはなかったのですか?

鏡:ちょうど探究で今後何をしようか行き詰まっていた時期でもあって、探究の先生方には何度も相談に乗ってもらっている状態でした。「私がやりたいことはこれだ」という興奮のまま、先生に想いを打ち明けました。信頼している先生方なので、「なんとかしてくれるかな」という気持ちもあって、頼りにさせてもらいました。

スタッフ: 勢いって大事ですよね。

 

壁にぶつかって知った、「大人を頼っていい」ということ

丸橋: その想いから、企画に至るまでの流れはどうでしたか?

鏡: 先生方に、市川と「自分たちで開催したい」という旨を伝えました。私の高校は探究に力を入れていて、生徒自らが動く取り組みもあるので、人も集められるのではないかと自信を持っていたんです。でも、色々と課題があり簡単ではありませんでした。

そんなときに「ぐんま探究コンソーシアムが、高校生の『やりたい』を叶える活動をされている」と知り、コンタクトを取れたことで、私の夢を現実として叶えることができました。

これまで、「高校生だから」という理由でワークショップの実施を諦めた生徒や先輩の姿を、私自身何度か目にしたことがあります。でも、そんなときこそ大人を頼っていいのだと知ることができました。高校生だからこそ無茶をしていいし、それを受け入れてもらえるのだと気づいて――諦めずに、とにかく挑戦することの大切さを学ぶことができました。

 

ふたりの探究テーマは違った ― だからこそ「対話」

丸橋: 開催までには、大変なこともあったみたいですけど、他にもありますか?

鏡: 2人で開催するとなったときに、私と市川の探究テーマが少し異なっていたので、意見がぶつかってしまうことが何度かありました。お互い「いいものを作りたい」という気持ちが強いからこそ、価値観の違いで揉めてしまうことも少なくなかったんです。

でも、そういうときこそ、MIRA-GEで学んだ「対話を通して相手を尊重すること」を意識しました。2人の探究活動の中で「ここは共通しているよね」という部分を見つけ出して、お互いの探究をブラッシュアップしながら、お互いが「これはいいね」と満足できる1つの形にすることができたんじゃないかなと思います。

課題を乗り越えるために一番大事なことは、どんなときも「対話」だなと思っています。お互いに偏見や不満を持ったまま接してしまうと、いい意見は出てきません。自分の想いを打ち明ける経験をこれまでしたことがなかったので、揉めてしまったときに冷静に対処する方法も身につけることができました。

丸橋: 次々と素晴らしいキーワードが出てきますね。課題を乗り越えるのは、やっぱり対話なんだ、ということですよね。

 

ソクラテスから始まった理由 ― プログラムの設計

丸橋: プログラムで工夫したことはありますか?

鏡: 本当はMIRA-GEになぞって、地域課題の共創から始めようと思ったんです。でも、会場を借りられる時間の制約もあって、全部やるとどれも中途半端になってしまうと2人で考えました。そこで「普段、高校生が自分の探究活動にフィードバックをもらえる機会が少ない」という課題に着目して、全部の時間を、いろんな世代の人からフィードバックをもらえる時間にしようと決めました。

それと、「高校生らしさ」というところで、今流行っている性格診断に着目しました。似た性格の人と組んで話せば、自分の価値観も受け入れてもらいやすいし、意見もブラッシュアップしやすいと思ったからです。その次にワールドカフェ形式で参加者を分散させることで、今度は自分とは異なる意見を持つ人と交流できて、さまざまな価値観を吸収できる。そういう狙いで、性格に注目した班分けの工夫をしました。

丸橋: やってみて、どうでしたか?

鏡: アイスブレイクで考えた質問が、思っていたよりも意見が割れてしまって(笑)。実は、同じ価値観の人なら同じ答えを選ぶだろうという質問を事前に選んでいたんですけど、うまくいきませんでした。そこが課題だなと思います。性格に囚われず、もっと違う質問をして、それに合った班分けをするべきだったかもしれません。

スタッフ: いや、あの班分けは面白かったと思いますよ。Googleフォームで答えているときから「一体これは何に使われるんだろう」と思っていて、イベントが始まったときに「こういうことだったんだ」と謎解きになった。高校生らしい分け方で、面白いと思います。

それと、導入をソクラテスの「無知の知」から始めた流れ。同じ班にいた大人たちに聞いてみたら、「大人も知らない人がいるし、むしろ高校生の方が今勉強していて詳しいから、最初から大人が高校生に聞ける設計になってるよね」と話していました。それがすごく心に残っています。

鏡: ありがとうございます。導入は、MIRA-GEでいつも、参加者の学びになる話から始まるのがすごく印象に残っていて、私もそれに倣ったものをしたいと思っていました。ソクラテスという具体例を提示したことで、参加した皆さんが「見聞祭の時間はどういう目的で実施されているのか」を理解してくれたことにつながったんじゃないかなと思っています。

 

ご飯の味がしないほど緊張した当日

丸橋: 本番当日の感想はどうですか?

鏡: もう、ご飯の味がしないぐらい緊張していて。ファシリテーションを行っている最中も、皆さんすごく真剣に取り組んでくださっているからこそ、「楽しめてるんだろうか」という疑問を感じてしまっていました。時間の使い方もたくさん話し合ったけど、「本当にこれで良かったのかな」という不安には常に押しつぶされそうでした。

でも、感想を全体で共有してもらったときに、「参加してよかった」「こんな機会は初めてで新鮮だった」と言ってもらうことができたことが救いでした。今までしてきた努力は無駄じゃなかったし、参加してくれる皆さんがいて初めて報われたと感じました。

私があの日MIRA-GEで感じた胸の高鳴りや、未来を全員で作り上げていく希望を、皆さんが楽しそうに持って帰って行かれる姿を見て、同じように感じてくれたんじゃないかなと思っています。今回参加してくださった皆さんの想いに応えるためにも、自分の探究により磨きをかけて、またこのような機会を作れたらなと思っています。

丸橋: 運営していると、自分で喋らなくてはいけないし、時間も気にしないといけないし、いっぱいいっぱいになりますよね。また、「本当に楽しんでるんだろうか」という情報はなかなかキャッチできないから、不安ですよね。でも、参加していた側からすると、すごく充実した時間が流れていましたよ。

鏡: 終わって初めて「ああ、やりきったな」と感じられました。最初、皆さんが集まったときは「何をするんだろう」「こんな高校生で大丈夫かな」と、ちょっと不安そうな顔をされていたんです。でもワークショップを通して、自分の想いを伝えていく中でだんだん熱くなっていく過程を見ていて――私も参加したくてたまらなかったんです(笑)。

そのことを市川に伝えたら、「じゃあ、私たちがそう思えるくらい魅力的な場にできたんじゃない?」と言ってくれて。2人でこういう場を作れてよかったな、と感じました。

スタッフ: 「参加者側で感じた高鳴りを今度は他の人に渡したい」と思って運営に立つと、自分は身を削るだけでその高鳴りを感じられない――その「余裕のなさ」って運営者がみんな経験することなんだろうなと思います。今後は司会の分担を工夫したり、第三者視点で見ていられる人を置いたりすると、おふたりのポジションに余裕ができそうですよね。

 

言葉には、人を動かす力があった

丸橋: 企画を通じて、一番学んだことはどんなことですか?

鏡: 1つのイベントを実現させるには、多くの人との協力と、その中でも1人1人とのコミュニケーションをしっかり取ることが欠かせないのだと学びました。参加者を集めることや当日の運営でも、思うようにいかないこともあって、その過程で改めて、自分の感情を言葉にして相手に伝えることの難しさと大切さを感じました。

私は「言葉の持つ力」をテーマに探究をしていますが、言葉は単に情報を伝えるだけじゃなくて、人の行動を後押ししたり、新しい出会いや学びを生み出したりする力があるのだと感じました。人を救うだけじゃなく、行動のきっかけにもなる言葉の力に、開催する側を経験したことで気づくことができて、自分の探究活動に新たに取り入れられる学びになりました。

1人ではできないことも、仲間と協力することで実現できるというのも実感しました。出会った人と対話を重ねながら、自分の探究活動だけじゃなくて、将来社会に出たときにも、人と人をつなぐ役割を果たせる人になりたいなと思いました。

丸橋: 探究テーマが「言葉の力」で、言葉は薬にもなるし、毒にもなるし、魂の言葉にもなるし、人を動かすきっかけにもなる。自分のやっている探究が、イベントを開催することで深掘りできている。まさに高校生探究の王道、真ん中を走っている感じがしますね。イベントを実施したということは、「実装」まで行っているわけだから。「そんなことができればいいと思いました」という調べ学習じゃなくて、実際にイベントを開催して、その想いまで語れている。探究のゴールまで行っているんじゃないかなと、すごく感じますよ。

 

「夢を見ることができれば、それは実現できる」

丸橋: 鏡さんの後を追って、今回のようなイベントをこれから挑戦したい中高生に、メッセージをお願いします。

鏡: 私がすごく大切にしている言葉があって、ウォルト・ディズニーの「夢を見ることができれば、それは実現できる」というものがあります。開催に至るまで、本当にいろんな試練や課題があった中で、私は「開催したい」という夢を叶えることを強く願って、「こんなことをしよう」「こういう計画をしよう」ということをずっとイメージし続けました。そして「自分ならできる」という想像力を働かせ続けました。その結果、夢だった構想が現実味を帯びて、実現につなげることができました。想像力って、探究を行う上でも、相手の気持ちを考える上でも、すごく大事なんじゃないかなと思います。

中高生の今にしかできないことはたくさんあります。そのようなとき、自分で抱え込むんじゃなくて、周りの友達に話したり、大人を頼れば、より具体的な助言をもらうことができる。これも私が「開催したい」と熱望したときから気づくことができたことです。学びの場が提供されている今この時に、たくさんの対話を重ねて、価値観を広げて成長していけば、自分が「やりたい」と思うことは絶対に実現できるんじゃないかなと思います。

スタッフ: もう、完成された文章ですね。あえて意地悪な質問をしますけど、「もうやらなくていいんじゃない?」と言われたら、どう答えますか?

鏡: より良い未来を一緒に作っていくことにゴールはないと思っているので、その時その時で違う人との出会いを大事にしながら、何回も、「どうしたら自分の理想を実現できる未来になるだろう」ということに注目して話し合うことが大事なのかなと思います。人の数だけ意見があるので、私はこの探究活動にも終わりはないと思っています。今回、皆さんに満足してもらえたけれど、そのことに満足せずに、謙虚になっていきたいと思います。課題は絶え間なく生まれてくるものなので、ちゃんと向き合っていけたらなと思います。

スタッフ: 「課題は絶え間なく生まれてくるもの」というのが、今の社会に一番必要な考え方なんだなと、鏡さんの言葉から教えていただいた気がします。

 

ファーストペンギンとして

丸橋: 最後に、言い残したことはありますか?

鏡: 1つだけあります。今回のイベントが群馬県で初めての試みということで、ファーストペンギンになれたことをすごく嬉しく思っています。他の中高生たちがどんどん自分の「やりたい」を叶えていける場が群馬県で広まって、群馬県の中高生の地域貢献の一環として、こういう取り組みがどんどん広まっていけばいいなと思います。

丸橋: そうですね。高校生はそれぞれ違う想いを持っているから、それぞれの想いを実現してくれればいいですよね。鏡さんと市川さんの想いでここまで来ているわけだから、そういうのが群馬県にいっぱい広がると楽しみです。超世代見聞祭には、なんというか「ワクワクするエキス」みたいなものが隠されていると思うんですよ。鏡さんが思っていることをみんなに広げていけば、それを体験できる人がいっぱい増えていくんじゃないかなと思います。ぜひさらに進めてください。今日はありがとうございました。

鏡: お時間いただきありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします!

 

編集後記

「言葉は、毒にも薬にもなる」。自らの経験から生まれた探究テーマを、鏡さんはイベントの開催という「実装」まで走らせ、そこでまた新しい言葉の力、人を動かす力に出会いました。

壁にぶつかったとき、「大人を頼っていい」と気づけたこと。それが挑戦を諦めない力になったと、鏡さんは語ってくれました。GTCは、こうした中高生の「やってみたい」を、企画の立ち上げから当日の運営まで伴走しています。この活動は、GTCの理念に共感してくださるみなさまのご支援に支えられています。

「こんなことをやってみたい」という中高生のみなさん、まずは気軽に事務局までご連絡ください。

 

また、これらの活動は、日々GTCの理念に共感してくださるみなさまのご支援に支えられています。

引き続き、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 

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